“アームストロング”NL07-1064488 B ♂ ハイン・ブラッセー作翔
長距離の強者ハイン・ブラッセーが創り上げた芸術的チャンピオン
史上最強の長距離レーサー "アームストロング"
オランダ南部リンブルグ州に住むハイン・ブラッセーといえば、古い競翔家の中にはピンとくる人がいるかも知れない。2010年現在68才のベテランである。
1992年のバルセロナ国際レースで、参加27,158羽中総合優勝したのは、オランダのテターリンゲンに住むM.ビーマンス鳩舎の有名なインヴィンシブル・スピリットであった。この鳩は、史上最高の超長距離チャンピオンと評価された有名なヨープの孫ということもあって、イギリスのルエラ・ロフトに史上最高価格でトレードされていった。
このレースで、オランダN総合2位、国際総合3位に輝いたのが、ハイン・ブラッセー鳩舎であった。ところがこのインヴィンシブル・スピリットの記録時間が翌朝の午前5時40分、ハイン・ブラッセー鳩舎の記録時間は、ほぼ当日に近い午前0時49分、完全な夜間飛行鳩の記録である。
しかし5時間近くインヴィンシブル・スピリットより早く記録したにもかかわらず、距離差56Kで負けてしまったのである。
レースの基本は、分速で競うことである。しかしそれはスピード表示の方法であって、どちらがより優秀な成績であったか、という判断になるど難しい判定である。
ハイン・ブラッセーはその後も、1996年にポーで総合優勝し、更にこの年は翌日(超長距離)レースのオランダNチャンピオン第1位にも選出された。
そのブラッセー鳩舎が、その後10余年の歳月を費やして世に送り出したのが、ここに紹介するアームストロングである。
アームストロング NL07-1064488 灰の雄は、2009年2才にして、オランダ鳩界のみならず、世界を驚かすようなハット・トリックを成し遂げた。まずその素晴らしい成績を、詳しく紹介してみよう。
5/30 リモージュ NPON656K2,814羽中総合10位分速1013メートル
6/20 ベルジェラックNPON787K5,162羽中総合優勝分速1166メートル
7/11 カオール NPON822K3,706羽中総合優勝分速1364メートル
公称700〜800Kの長距離レースに約40日間中に3回参加して、この成績である。いずれも所要時間11時間前後の記録であるが、距離が伸びても高分速で総合優勝出来るところが素晴らしい。正に長距離レースではオールマイティの全天候型であるし、なおかつ40日間もの間そのコンディションを維持し続けただけでも驚異的である。
ちなみにブラッセー鳩舎はベルジェラックのレースには、15羽参加し、当日9羽入賞。同日行われたポー国際レースでも、翌朝7時16分に記録してナショナル総合4位に入賞した。
血統書アームストロング NL07.pdf click
この超銘鳩アームストロングの血統を見てみると、これがまた素晴らしい。父親アス・ダィフ・スーパー・シェックは、自身その長い選手鳩生活の中で、ボルドーN総合7位、マルセイユN総合4位という素晴らしい成績を残し、特にボルドーでは、2003年に至るもP総合29位という成績を残したことから、ボルドーNレースの通年エース・ピジョンに選出された。
したがってアームストロングは、2代連続のスーパー・チャンピオンということになる。
父方の祖父は、コル・ヘルマンスの作出したズワルテ・37で、自身もチャンピオンであったが、血統的にもオランダ最高の長距離系の結晶といえる。
この父方の血統には有名なクライネ・ドンケレが出てくる。この鳩は、有名なカスパー・ヤンセンの超銘鳩ド・10の妹× (スティッケルボートで有名な) マルセル・デズメットというヤン・スラバース鳩舎を代表する伝説的ペアから作出された鳩で、この鳩を種鳩として導入したブラッセーは、翌年すぐ作出した鳩で、1978年にはダックスPレースに総合優勝している。
しかも何を隠そう、このクライネ・ドンケレこそが、1992年のハイン・ブラッセーのバルセロナ国際レース総合3位(幻の勝者)シマーレ・ドンケレ・バルセロナの祖父にあたるのである。
アームストロングの母親は、殆どファンルーンである。つまりこのアームストロングは、純粋に長距離血統で構成されている父親アス・ダィフ・スーパー・シェックにスピード血統であるファンルーンを配することで、より長距離レースに於けるスピードの強化を図ったブラッセーの意図がうかがえる。そしてそれが見事に結実したのである。
92年のバルセロナ国際レースでは、翌日レースであるがゆえに敗れたブラッセーが、当日最長距離レースで、完全な超銘鳩を駆使して完全勝利を収めたことは、非常に面白い。
このアームストロングが、今回浜松の内山勝博鳩舎に導入された。内山鳩舎は、これまでに導入した鳩で、既に実に素晴らしい実績を挙げている。
今後内山氏が、このアームストロングを駆使して、どのような鳩を作出し、どのような素晴らしい成績を出すのか、非常に楽しみである。
ブラッセー兄弟と内山勝博氏(左がハイン・ブラッセー)

