
ヨーロッパ鳩界の頂点を決める最高の授賞式
ゴウデン・ダィフ賞2009行われる

去る2月28日土曜日、ベルギー・アントワープ州ブルッヒェムのブームガーンド・ホールに於いて、ベルギー、オランダ、ドイツで最も活躍した鳩舎を讃える祭典、ゴウデン・ダィフ(黄金の鳩)賞授賞式が行われた。
ゴウデン・ダィフ賞は、ベルギー最大にして最も権威のある鳩新聞社ド・ダィフ紙の主催で、毎年行われる授賞式で、ヨーロッパ最高の名誉を讃える授賞制度である。ド・ダィフ紙は創立1888年以来創刊120余年を迎え、ヨーロッパ最大の発行部数を誇る営業紙で(無料PR紙としてはナチュラル社の発行するダィフケ・ラハト紙が世界最大)、同社に加えペプシ・コーラ、ハーハト・ビール、ヴェルセル・ラーガ社、オロ製薬等々数多くのスポンサーが後援している。
ベルギー、オランダ、ドイツの各距離別の優秀鳩舎を選考顕彰している他、ジュニア、国際超長距離の優秀鳩舎も表彰の対象としている。
この日も例年通り、午後2時過ぎから会場には人々が続々と詰めかけた。増え続ける参加者の為、会場も毎年手狭さを感じさせる。今年も入場者は、ベルギー、オランダ、ドイツの他、フランス、イギリス、アイルランド、スロヴァキア、ポーランド、日本、中国、台湾と多彩を極めた。
授賞式に先立つレセプションには、各国の一流鳩舎、来賓の顔が揃った。
3時には主催者を代表してヤン・ヘルマンス氏が開会の挨拶を述べ、続いて各国の来賓が次々に祝辞を述べたが、その幾つかを紹介すると、P.デライストKBDB(ベルギー王立鳩協会)会長 ド・ダィフ紙は、今やベルギー最大にして最も中身の濃い新聞であり、ベルギー鳩界にとって最も重要な意味を持つ。
ジョン・グーゲビュール同協会スポーツ委員会委員長 ゴウデン・ダィフ賞は、ベルギー鳩界にとって重要な目標であり、指針である。
クラウス・キューンストッフ・ドイツ協会ブリーフタウベ紙編集長 ゴウデン・ダィフ賞は、今やドイツでも大きく取り上げられねばならない重要な意味を持つ賞である。
更にローランド・フィッツナー・ドイツ・ドルトムント・オリンピアード組織委員長による祝辞や、レオ・マッケイNPO(オランダ協会)事務局長からのゴウデン・ダィフ賞に対して、オランダ協会賞の贈呈などが行われた。
続いて各国各月距離別の様々な授賞が行われたが、余りにも数が多いので、ここではその主な受賞者だけを紹介しよう。(別表参照)
ここでそのシステムを簡単に紹介すると、各鳩舎は一定の基準に達した素晴らしいレース成績を挙げると、その成績をド・ダィフ紙に申告する。その申告するレースの数が多ければ上位となり、また同じ申告数の場合、そのレース成績内容のポイントが高い鳩舎が上位となる。
この場合一定の部門、例えば短距離なら短距離に特化した鳩舎は、その部門のスーパー・スターとなる。しかしその上のゴウデン・ダィフ(黄金の鳩)賞を狙うとなると、他の部門でも一定の成績を挙げていないとならない。
その好例が、今年のベルギーの順位に表れている。第1位ゴウデン・ダィフ(黄金の鳩)賞に輝いた強豪ジョス・トネーは、短距離で1申告28位、中距離で3申告2位、長距離で1申告36位とバランス良い成績を収めた合計5申告55点であった。これに対し、次点のシルバー鳩賞に輝いた強豪アドリアン・デムンターは、中距離レースの成績だけで4申告52点、ジョス・トネーの総合得点に劣ること僅か3点差という抜群の強さを見せたが、他の成績が僅か1申告1点という成績であった為に、総合2番に終わったのである。

もうひとつ今年特筆すべきは、やはりベルギーのジョス・トネー鳩舎による5度目のゴウデン・ダィフ賞受賞であろう。彼の場合、今後も同じ賞を獲得する可能性はあるが、他の鳩舎の場合、ベルギー、オランダ、ドイツを通じても、5回獲得は今後数十年不可能であろうとも言われているのだ。
それは殆どの受賞者が1回限りの獲得で、しかも彼らの中には既に他界している人々や高齢者が多いからである。


一方、ゴウデン・ダィフ賞とは別部門で、超長距離レースのみを対象とした国際超長距離部門の授賞は、ベルギー、オランダ、ドイツの3ケ国の中で最も素晴らしい成績を挙げた鳩舎が対象である。
そのシステムは別表の通り、選考規準が分かりやすい。今年はオランダ勢が圧倒的な強さを見せた。
授賞式は例年長丁場で、今年も各国の下位の授賞からスタートし、その合間にヨーロッパでは有名な歌手達によるショーが行われたり、記念オークション、ジュニア部門の授賞、来賓紹介などが行われる。 今年は、小笠原悟氏が、ステージ上で主催者ヤン・ヘルマンス氏に大理石のプレートを贈呈する一幕もあった。

記念オークションは、選ばれた一流鳩舎がその名誉にかけて、自慢の鳩を送りこんでくることで知られているが、今年も48羽の鳩の売り上げ総額は、日本円で1000万円を優に超える価格となった。

授賞式の最後には、各国の最高位、即ちゴウデン・ダィフ賞受賞者からシルバー鳩賞、ブロンズ鳩賞の授賞が行われたが、3次元CDで作られた各鳩舎の紹介映像が巨大スクリーンで映されたり、各国の国歌が吹奏されるなど、日本の授賞式にはない盛り上がりである。
全てが終了したのは、午前4時であった。

●ゴウデン・ダィフ賞2008成績(各部門3位迄と上位有名鳩舎)
ベルギー・スーパースター賞
短距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | カレル・ブークス | 3 | 48 |
2位 | フランス・マリス | 2 | 35 |
3位 | ルク・ポンセレ | 2 | 31 |
4位 | ヴォウタース=コレマンス |
中距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | アドリアン・デムンター父子 | 3 | 48 |
2位 | ジョス・トネー | 2 | 32 |
3位 | カミール・ハザールト | 2 | 30 |
6位 | J&R.ヘルボッツ兄弟 | 2 | 18 |
13位 | ファンエルザッカー=イェプセン | 1 | 18 |
長距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | ジェフ・ファンヴィンケル | 3 | 39 |
2位 | フェルレクト=アリアン | 3 | 11 |
3位 | ジェスパース=ファンデールウェーゲン | 2 | 36 |
4位 | J&R.ヘルボッツ兄弟 | 2 | 31 |
5位 | デノ=ヘルボッツ | 2 | 21 |
6位 | ファンホーヴェ=アイターホーヴェン | 2 | 18 |
8位 | マルク・デコック | 2 | 15 |
16位 | ギド・ロークス | 1 | 16 |
16位 | J&J.エンゲルス | 1 | 16 |
19位 | アルベルト・デルヴァ | 1 | 15 |
ゴウデン・ダィフ賞(総合) | 申告数 | 点数 | |
1位(金鳩賞) | ジョス・トネー | 5 | 55 |
2位(銀鳩賞) | アドリアン・デムンター父子 | 5 | 53 |
3位(銅鳩賞) | J&R.ヘルボッツ兄弟 | 4 | 49 |
オランダ・スーパースター賞
短距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | ブレッサー共同鳩舎 | 2 | 14 |
2位 | ヘンリー・ファンヘンローイ | 2 | 5 |
3位 | D.ファンデールフェーン | 1 | 10 |
3位 | P.ファンローイ父子 | 1 | 10 |
5位 | J.D.ポールフリート | 1 | 9 |
5位 | ピーター・フェーンストラ | 1 | 9 |
中距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | B.ベルグマン | 2 | 17 |
2位 | アテマ共同鳩舎 | 2 | 12 |
3位 | J.D.ポールフリート | 2 | 12 |
長距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | G&S.フェルケルク父子 | 2 | 19 |
2位 | ロトガンス=クライン共同鳩舎 | 2 | 10 |
3位 | フェルブリー共同鳩舎 | 1 | 9 |
6位 | ヨープ・コッホ | 1 | 7 |
10位 | ペーター・ファンブリューゲル | 1 | 5 |
10位 | W.A.ドブルイン | 1 | 5 |
ゴウデン・ダィフ賞(総合) | 申告数 | 点数 | |
1位(金鳩賞) | J.D.ポールトフリート | 3 | 21 |
2位(銀鳩賞) | G&S.フェルケルク父子 | 3 | 20 |
3位(銅鳩賞) | ゲルベン・クノル | 2 | 14 |
ドイツ・スーパースター賞
短距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | W.A.ドラッパ | 2 | 10 |
2位 | ローランド・フィッツナー | 2 | 6 |
3位 | J&E.ペーテルス | 1 | 7 |
12位 | ハーディ・クリューガー | 1 | 1 |
中距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | ステファン・カッツェネンボルゲン | 2 | 5 |
2位 | ディルク・ドベーア | 1 | 7 |
2位 | F.スティーネッカー+L.ローゼンブッシュ | 1 | 7 |
2位 | L&S.ケーニヒスマン | 1 | 7 |
5位 | ギュンター・プランゲ | 1 | 6 |
6位 | H&F.サンダー | 1 | 5 |
11位 | C.ハルベック | 1 | 4 |
13位 | ヴォルフガング・ルーパー | 1 | 3 |
16位 | ライナー・シュワルテ | 1 | 2 |
長距離 | 申告数 | 点数 | |
1位 | ライナー・シュワルテ | 2 | 11 |
2位 | エリカ・メイヤー | 2 | 9 |
2位 | ステファン・カッツェネンボルゲン | 2 | 9 |
4位 | ギュンター・プランゲ | 1 | 7 |
ゴウデン・ダィフ賞(総合) | 申告数 | 点数 | |
1位(金鳩賞) | エリカ・メイヤー | 4 | 15 |
2位(銀鳩賞) | ステファン・カッツェネンボルゲン | 4 | 14 |
3位(銅鳩賞) | ディルク・ドベーア | 3 | 15 |