ド・ダィフ紙の新たなメンバー、マイク・フェルブリュッヘンを紹介

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 今はインターネットの時代です。ド・ダィフ紙の電子カラー版を担当しているのは、ヤン・ヘルマンスの娘アンケさんです。
 彼女のボーイ・フレンドで、新たにド・ダィフ紙のスタッフに加わってのが、ここに紹介するマイク・フェルブリュッヘンです。
 彼は鳩飼いではありません。マイクは、若い頃は料理人を目指してシェフの学校に通ったり、動物園に勤めたりしましたが、ヤンの娘のアンケさんと知り合ったのがきっかけで、ド・ダイフの編集スタッフに加わりました。従って鳩の知識はまだ貧弱ですが、ヤンの言うように非常に高いインテリジェンスを備え、将来に期待されています。



 ド・ダィフ紙には、嘗てナチュラル社のヨセフ・デスカイマーカー氏から、「ド・ダィフ紙のダイヤモンド」と称揚され、何度も誘いを受けながら断ってド・ダィフ一筋に歩んできたゲルト・ハイゲという一流記者がいます。しかしゲルト・ハイゲもかなり高齢となり、ヤンが将来のゲルト・ハイゲと期待を抱いているのがマイク・フェルブリュッヘンなのです。
 彼はまだ鳩の知識が貧しいので、専門的な記事は書けません。今彼が担当しているのは、例えば同社建物1階の空き部屋のマネージメントや、例えばゴウデン・ダィフ賞の集計、広報と言った業務が主体ですが、それに並行して、先日筆者と一緒にブールジュNレースの放鳩同行記を書いたりと、雑用から記事迄多岐にわたっています。

 その彼と一緒に生活しているヤンの娘のアンケさんと彼から夕食に招待され、去る8月末彼らの住まいを訪問しました。実は彼らは来年6月に挙式を行い、順序が逆ですが、その前3月にハネムーンで日本に来る予定です。
彼らの家到着して、まず彼らの住まいを見せて貰いました。豪邸ではありませんが、素晴らしいお宅です。敷地は六千平米の広さでヤンの家の1.5倍の広さです。緑一杯の庭の小道を案内されながら歩いていくと、馴れた飼い犬もついてきます。庭にはベルギー種という山羊や鶏が飼われています。しかし鶏は全て檻の中です。実は彼の敷地の周りも広大な森で、狼や、鹿などの他に大型の猛禽類もいることから、鶏などはすぐに襲われ、危険で放し飼いが出来ないそうです。

 夕食は素晴らしい物でした。彼は最近、時々ド・ダィフ社で月曜のランチ・タイムに全員の食事を作ることもありますが、いつも唸らされます。
 この日、彼は典型的なベルギー料理というのをご馳走してくれました。典型的なベルギー料理でありながら、殆どレストランでは出ない料理です。それは手間暇がかかりすぎるからでしょう。それはシコリという野菜を使ったクリーム・シチューに近い料理なのですが、彼の素晴らしいところは、僕とマイクの食べる料理の他に、ベジアリアンのアンケさんの為には、同じシコリの料理でも肉を使用していない料理をちゃんと別に作ることです。
マイクとアンケさんは、これまでも世界中を渡り歩いてきましたが、日本に来る際の1つの目標は、様々なレストランを訪れることだそうです。しかしベジタリアンでも楽しめる日本料理のカテゴリーは、限られるでしょう。寿司、すき焼き、しゃぶしゃぶは無理だし・・・・・。

 会話は結構弾みました。僕のつたない英語でも、彼が如何に鳩に対する知識がなくとも今はその奥深さに惹きつけられているか、滔々と語るのです。その奥の深さは、
「鳩の良し悪しだけ分かったって駄目なんだよね」
「世の中にこんなに様々な知識が要求される趣味があったなんで全然知らなかったよ」

 マイクの場合、どんなに鳩が好きになっても飼育することは出来ません。何故なら余りにも広大な森に囲まれ、まるで猛禽類の中心で生活しているからです。しかしそれでもすっかり鳩の魅力に取りつかれてしまったようです。しかし何で鳩の世界に? ベルギー人なら誰で知っているけれど、鳩界は、世界的に衰退していて、将来性が無いと言われているのに。
「そんなことは承知の上だよ。でもいくらベルギーの鳩界が廃れていると言ったって、現にド・ダィフをはじめ、P社、H社も含めて3大企業が成り立っているじゃない。そしてそれなりに売り上げを作っている。どんなに規模が縮小しようとも、金を持った顧客さえ掴んでいれば問題ないよ」

 食事が終わると、ワイングラスを手に庭先で一服しながらまた話始めました。するとマイクは、ベルギー人の欠点を並べ始めたのです。ちなみにマイクはベルギー人、アンケさんはオランダ人です。
 実は僕自身、つねづね非常に不思議に思っていたことがあります。ベルギー人の半分は、フラマン語、つまりオランダ語の方言を話すのですから、殆ど民族的に差異はない筈です。ところがオランダとベルギーを比べると何故こんなに違うのでしょうか。確かに宗教的にはベルギーは大半がカソリックで、オランダでは多くがプロテスタントです。
 しかし大抵の日本人(鳩飼い以外)にとって、ベルギーはまるで特徴の薄い国です。僅かにチョコレートとダイヤモンドが有名でしょうか。
 それに比べるとオランダは、交通の面だけでも、ヨーロッパ最大級の港ユーロポートを控えるロッテルダム港、かつてはヨーロッパの空の玄関口を誇ったスキポール空港、KLMオランダ航空、自転車の普及、さらに東インド会社、フライング・ダッチマンで知られる貿易の発達、風車、チューリップの栽培と輸出、国土の3分の1以上を干拓で築き、それをもとに観光に注力し、ハステン・ボスではないが、積極的を感じさせます。
「世界は神によって創られた。されどオランダは人によって創られた」と豪語し、
 世界に先駆けて同性婚を認め、マリファナやハッシッシを合法的に喫煙出来・・・・、枚挙にいとまがありません。
「まさにそこなんだよ。オランダ人とベルギー人の違いは」
マイクも全く同意見です。
「これらの違いは何から来るの」
「それこそ国民性、民族の違いだろうなあ。例えば僕も日本以外の東南アジアの国々を廻ったけれど、皆全然違う、タイ人とベトナム人が全然違うように、オランダ人とベルギー人は、全く違うんだ。勿論日本人と比べれば、もっと違うのは当たりまえだ」
「何がそんなに違うの?」
 洗い物を終わったアンケも話に加わった。
「オランダ人はね。何もかもベルギー人より積極的だ。自分の行動に自信を持っている。だからスポーツでも事業でも、成功すればPRがうまい。すぐに世界中に知れわたる。
 その点、ベルギー人は駄目。自信がないのか、控えめなんだ。例えば若手の素晴らしい新人のサッカー・プレイヤーが出たとする。オランダのチームなら、お前は絶対に大物になる。自信をもってふんぞり返って練習に励め、だよ。ところがベルギー人はそうは言わない。頑張って努力すれば、お前も一流プレイヤーに仲間入り出来るかも知れない。カモシレナイ、だよ」
 確かにそういった違いはあるだろう。

「でもね。確かに皆違うのは分かる。日本も台湾も、タイも仏教だ。ところが台湾ではお葬式にパレードをする。今回の日本と韓国の対立だって、韓国国民の反応と、日本国民の反応はまるで違う。それは国民性の違いだろう。けれど極端に違う筈の日本人やアジア人の文化とヨーロッパ人の文化が、逆に多くの共通点もあることは、面白くないかい?」
「例えばどんな」
「例えば冠婚葬祭。葬式は寺や教会で行うけれど、喪服やダーク・スーツを着用する点、祭壇に花を飾る点、牧師やお坊さんが何やら呪文を唱えるだろう?
そして葬式の後のお清めだってそうだ」
「そうか。そう言えばそうだね。でもそれでも同じベルギーでも地域によって全然違う。例えばルク・シウンの住んでいるような西フランドルの葬式に行ってみな。信じられないよ。本当に大ご馳走の乱痴気パーティ、お祭りだよ。逆にこちらケンペン地方では殆ど何も供さない」

 話は尽きなかったが、遠い田舎道ゆえ筆者は2人に別れを告げて、彼らの家を後にしたが、帰りの車の中でつくづく思った。ヤン・ヘルマンスは誠に幸せな男である。長男のリックは、既にベルギーの大チャンピオン、そして娘のアンケや彼女の将来の亭主迄を含めて、皆が彼の事業に参画しているのである。

 既に71才で健康に問題があるヤンは、ド・ダィフ社の経営を半分以上リックに託している。しかし一方で、真に会社を託せる男として、マイクを考えているようだ。
 なぜならヤンは、リックに全幅の信頼をおいているとは言え、リックの最大の利点が、経営者としてよりも、鳩飼いのチャンピオンとしてド・ダィフ社に大きく貢献しているのが事実だからである。
 そしてリックのレース成績が低下するのは誰も望んでいない。今年もイソウドゥンNレースという快挙を成し遂げたが、実は他にも大きなタイトルを狙っているのである。

 しかしマイクは鳩飼いではない。編集者としても、家族としても、そして会社経営の大きな柱としてもヤンは、大きな期待を寄せているのである。


  (文 吉原謙以知)

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