ベルギー短信⑫(8月15日)

 8月15日月曜日 昨日からまたベルギーに来ています。今日は月曜日ですが、ベルギーは祝日、そしてベルジアン・マスターと同じ敷地内で同時開催されるFCI(国際鳩連盟)公認の世界選手権レースの開催日です。

 筆者(吉原謙以知)も、チャンピオン商事グループのマイクロ・バスの運転手を急遽依頼されて、ドライバーで会場入りしました。筆者は今月上旬3ケ月ぶりに日本に帰国したばかりでしたが、今年のベルジアン・マスターにはどうしても参加したかったのです。
 それというのも今年はポルトガルのミラ・グランプリが7月開催で参加出来ず、このベルジアン・マスターで併催される世界選手権には、友人であるテレーゾ会長、ドイツのホルスト・メンツェル氏の他、ハンガリーのイストバン・バルドス氏、ポルトガルの新しい会長や、レオ・マッケイ氏など、各国の会長やリーダーが揃うと聞いていたからです。

 さてレースですが、当初ベルジアン・マスターは、ツールからの460K、世界選手権はブールジュからの400Kレースを予定していましたが、今年のベルギーの悪天候による世界選手権参加鳩(最終的に約200羽)の減少の為、急遽両参加鳩ともツールからの放鳩と、予定が変更されました。

 朝、オランダを出発した際には既に放鳩時刻が7時40分と知らされていました。そしてオランダからベルギーの会場のネーヴェレまでの200K弱の高速道路走行の間、空はほぼ快晴状態で、誰もが高帰還率を想像していました。
 我々一行が会場入りしたのは、午前11時前でした。広大なテント会場の下には、例年にない多くの入場者も詰めかけています。ベルギーのテレビ局や、最近のテロに合わせて警察官の姿も多数見られます。
 そしてこれも例年通り、鳩の帰還を前に、飲み物やバーベキュー・ランチを楽しんでいると、数多くの有名競翔家が続々と会場入りしては、挨拶を交わしあい、話の輪を広げています。
 そして先述のテレーゾ博士やドイツのメンツェル氏など尊敬する友人たちも、多く会場入りして旧交を温めることが出来ました。

 さてレースですが、今年は多くの優秀な成績を収めたエース鳩候補が多数おり、もしそれらの中の1羽が、早く帰ってきたら、かなり優秀な鳩だ、などと話していると、ヤン・ヘルマンスが、「否、否。今年はこれまでの訓練やエース鳩選考予備レースが、全て追い風だったけれども、今日は全く違う逆風だから、上位に来る鳩も全く違ってくるよ」
と不吉なことを言います。そして3時までに鳩が帰ってきたなら、充分に上位入賞だろうよ。などと言います。ところが待てど暮せど、鳩は帰って来ません。


 業を煮やした多くの参加者、見物客は、皆鳩舎が見える前庭に椅子を動かして、空や鳩舎を見守りますが、一向に鳩は帰還しません。
 誰もがジリジリとして鳩の帰還を待っています。ところが放鳩時間の7時40分の8時間後、即ち優勝分速が1000メートルを割る15時40分を過ぎても、鳩は帰ってこないのです。
 一体、どうなってしまったんだろう、誰もがそう思い始めた16時丁度、最初の帰還鳩が1羽だけ帰ってきました。ベルギーの鳩です。そしてまた約20分が経過して、漸く2位鳩が帰還しました。
 その後も帰還鳩は、殆ど全てが単羽帰還で、纏まった集団の帰還はありません。そして例年であれば、レースの結果の大半が判明している筈の時間帯17時に地元歌手のセルジオのショーが開始された頃になっても僅か10羽に満たない状況でした。
 そしてショーが終わり、上位10羽の会場での競売が始まった時点でも、帰還鳩は20数羽に過ぎませんでしたが、何より問題なのは、この時点で世界選手権参加鳩が1羽も帰還していないことでした。これには参加していない日本人の我々ですら、気がかりで堪りません。何故ならその晩に予定されているホテルでのKBDB(ベルギー王立鳩協会)主催の国際鳩連盟のディナーやプレ・セレモニー(正式な表彰式は、来年1月のブリュッセル・オリンピアードで行われる)が、まるでお通夜になってしまうだろうとの危惧があったからです。
 しかし来ないものは仕方がありません。我々は競売と表彰式を終え、ホテルに引き上げました。ガーデン・テラスでのレセプション後、2階の宴会場に移った時には、既に周囲は真っ暗です。
 そしてそこでの食事が始まって暫くして、最終的に出た結果は、漸く世界選手権当日只1羽帰りの世界チャンピオン?が誕生したことと、ベルジアン・マスターも当日帰還が、結局32羽に留まったという報せでした。


 そのレース結果は、既に読者の方々はご存知でしょうが、ベルジアン・マスターやド・ダィフのホーム・ページでご覧頂いた通りです。我々、ヤン・ヘルマンスの仲間の日本人グループでも、会場を引き上げる時点で帰還していたのは、いずれもディルク・リーケンス氏の作出鳩で参加していた小笠原悟氏の鳩と筆者の鳩の2羽だけでした。
 しかし今年も驚くべきことに、上位15位内の入賞鳩の実に半数以上が、我らがヤン・ヘルマンス=ド・ダィフの仲間達の鳩でした。ヤン・ヘルマンスの息子リックは、先日ブールジュN総合優勝し、このベルジアン・マスターの当日、彼の鳩″ゴディバ”のベルギーNエース鳩第2位が確定し、ツキまくっていましたが、このベルジアン・マスターでも2位(ルク・シウン作母鳩がリックの血統)と5位。リーケンス氏の作出鳩は、筆者と小笠原氏の他に7位にも入賞しています。
 そしてオランダ鳩界一の富豪で、我らの仲間ジョン・ファンヴァンローイ氏が、12、13位に何れもNPO総合優勝鳩の直仔の凄い血統の鳩で入賞させました。

 また何れ筆者の釣りの師匠となるかも知れないヘンク・シモンズ(彼は日本のガマカツやシマノとの契約プロ)で、ド・ダィフに記事を書いているヘンク・シモンズも10位と17位に入賞しました。ただ残念な事というか、彼の鳩も含めて、前翔レースまでのエース鳩候補が、この日全滅したことです。正に鳩レースはお天気次第、という見本のような結果に終わりました。
 しかし優勝鳩1羽だけが分速900メートル超というそれこそ超難レースでも、半数以上がヤン・ヘルマンス氏のグループの鳩という結果は、実に驚くべきものでした。

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