ベルギー短信⑦
ブラック・メイズの時代到来か?
トウモロコシの餌としての効用は、本来何か。それは炭水化物として、鳩のエネルギー源の供給である。従ってベルギー、オランダ等の多くのレースでは、放鳩地で鳩に与えられる飼料は、トウモロコシのみである。その為に、一部競翔家達は、自分の飼育鳩が放鳩地での給餌生活に慣れるよう、若鳩時代に1週間トウモロコシのみの給餌を行っているほどだ。
さてでは何故ここ数年ブラック・メイズに脚光が集まってきたのであろうか。トウモロコシは、元々南米のアンデス山麓が原産地で、その後世界に広まっていきました。従って現在日本で使用されているトウモロコシも食用、飼料用とも国産の他、世界中の多くの国々で産出されたトウモロコシが使用されています。
一方、近年日本でも世界でも健康ブームが盛んになり、栄養補助食品とか、食べ合わせの研究などが進んできました。その中でもよく聞く言葉に、ポリフェノールとかアントシアニンという成分をお聞きになった読者の方々も多いと思います。ポリフェノールは、抗酸化作用、抗菌機能で知られています。そして細胞老化の防止とか、人間でいえば生活習慣病予防の効果が期待されています。
そしてこのポリフェノールが、ブラック・メイズには多量に含まれている事が、近年の研究で分かってきたのです。ブラック・メイズに含まれているポリフェノールの含有量を、他のトウモロコシ等と比較してみますと、驚くべき違いが分かります。以下の数字は、1キログラムあたりの含有量です。クランベリー1,500mg、ラプラタ・メイズ1,700mg、フランス産トウモロコシ1,700mg、小麦2,010mg、ソラ豆2,460mg、ボルドー産トウモロコシ(一般のフランス産トウモロコシと異なり、赤い小粒)4,650mg、そしてポリフェノールを有名にしたジャムの原料であるブルー・ベリーで、8,360mg、赤トウモロコシで17,600mgという数字なのですが、ペルー産のブラック・メイズ(黒トウモロコシ)は、何と88,812mg。実にフランス産トウモロコシの52倍以上の含有量なのです。
ではアントシアニンはどうでしょうか。アントシアニンもポリフェノールの一種で、植物に含まれる色素です。人間の場合には、眼精疲労の予防や、メタボ、肥満の予防に効果が高いとされています。では鳩の場合はどうでしょうか。アントシアニンに期待される効果は、ズバリ筋肉の保護です。2010年ニュージーランドの植物食品調査研究所の発表によると、アントシアニンは、筋肉繊維を披露ストレスから守る効果があるとされました。筋肉疲労を少しでも早く回復させたいレース鳩には、最適といえるでしょう。
ではこのアントシアニンは、ブラック・メイズ(黒トウモロコシ)には、どれだけ含まれているのでしょうか。これもポリフェノール同様他のトウモロコシ等と、1キログラムあたりの含有量で比較してみます。
ラプラタ・メイズ16mg、フランス産トウモロコシ16mg、フランス産赤トウモロコシ830mg、ボルドー産小粒赤トウモロコシ3,250mg。
そしてブラック・メイズは、というと何と16,400mg。何と一般的なトウモロコシを遥かに凌駕している量のアントシアニンが含まれているのです。
つまりブラック・メイズには、本来のレース鳩に必要な熱エネルギー源である炭水化物の他、疲労回復や抗菌作用に役立つポリフェノールやアントシアニンが大量に含まれていることで、物凄い効果が期待出来るのです。従って前述したように、ヨーロッパ各国でもこのブラック・メイズが使われ始めていますが、ペルー産ブラック・メイズは希少で輸入量が少なく、非常に高価な為に、単品では販売されず、混合飼料の材料のひとつとして使用されていますが、それでもその混合飼料が高額となっています。
そこで私どもでは、現在このペルー産のブラック・メイズを直接買い付けることで、何とか飼料用としても使用可能なギリギリの価格で供給出来るよう、準備を進めております。
何分、農産物は、出来高も天候等に左右され、その都度価格も異なる為、あえて定価を設定せず、5kg入りの袋で、時価販売させて頂こうかと思っております。実際にご使用になられる際も、すこしずつ鳩に馴れさせる意味からも、他の混合飼料に混ぜてご使用されることを推奨いたします。
実際の頒布時期は、?月頃からの開始を予定しておりますが、前述したように充分な輸入量を確保出来る見通しがたっておりません。また同時に一般の方に小分け出来る態勢ではありませんので、使用ご希望の方は、必ず業者の方を通じて、ご希望数量等をお知らせ下さいませ。