2015年度ゴウデンダイフ賞授賞式

ゴウデン・ダィフ(黄金の鳩)賞授賞式行われる

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 去る2月27日土曜日、ベルギー最大の鳩新聞ド・ダィフ紙主催による恒例の2015年度ゴウデン・ダィフ賞授賞式が、アントワープ州デン・ブームガールト・ホールで行われ、世界各国から多くの鳩界人が詰めかけた。             吉原謙以知

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最大のイベント

 ド・ダィフ紙は、有料鳩新聞としては、(PR誌であるナチュラル社のダイフケ・ラハト誌を除いて)ヨーロッパでは最大の発行部数と現在では最長の歴史を誇る鳩新聞である。だから発行部数もさることながら、その影響力も非常に大きい。今年のKBDB(ベルギー王立鳩協会)の大会でさえ、今年は日曜日には350名しか入場者が無かったのに、ゴウデン・ダィフ賞授賞式だけは、毎年3,000人近い参加者が出る。もちろん受賞者数も多いが、今年も授賞対象外である日本、台湾、中国、英国、フランス、デンマークなどから多数が参加した。日本からも木島寛、内山勝博、小笠原悟の各氏の他、吉原謙以知、石原正の5名が参加した。 恐らく入場者数の多い点では、ヨーロッパでは、オリンピアードに次ぐ祭典であろう。まず一流鳩舎で会えない顔ぶれはない。

授賞式

 ゴウデン・ダィフ賞のプログラムは、非常に長い。日本人だけでなく、アジア人に馴染めないほど長い。それはただ単に表彰式というセレモニーではなく、お祭りとして楽しみたい、そしてお祭りとして楽しもうという以上、少しでも長くその雰囲気を味わいたいという気持ちがあるからである。だからこそ年によっては、800Kも離れた場所からわざわざこの授賞式やってくる受賞者もいるのである。

長い、と書いたが、ここにそのプログラムを紹介する。
14時 レセプション(これは招待客だけを対象なので、プログラムには記載されない) 主な受賞者、
やゲスト、スポンサー、それに主催者が招かれ、シャンパンやジュース、それにカナッペの出る軽いパーティー。
15時 開場と同時に競売鳩が会場に展示される。一般来場者が入場する。会場は授賞式会場のホールにバーがあり、飲み物やスナックは、購入出来る。授賞式会場の隣接ホールには、若干の模擬店、バー、テーブル席があり、ここでも人々が集いあう。授賞式会場のステージでは、バンド演奏と前座の歌手が歌っている。
16時 公式開会 主催者を代表してド・ダィフ社の主宰であるヤン・ヘルマンス氏が挨拶、それに続いて、ベルギーの協会KBDBから来賓が順次祝辞を述べる。

 少し休憩を挟んだ後、我々外国(授賞対象国ベルギー、オランダ、ドイツ以外の国々)からの客がステージに呼ばれ、会場の入場者たちに紹介された。続いて、表彰式である。
 そしてこのプログラムの最後は、ゴウデン・ダィフ賞ジュニア部門の表彰である。ゴウデン・ダィフ賞授賞式プログラムには多くのスポンサーがついている。ハーハト・ビール(ペプシ・コーラ)、ベルガ=フェット・プロダクツ(鳩用サプリメント)、ジンマー・ホテル、BIFS(鳩の人口受精や、DNA鑑定等)、そして飼料のヴェルセル・ラガー社であるが、特にジュニア部門の商品である鳩の飼料は、ラガー社が提供している。
18時 記念オークション これは、後から紹介するが、いつも遅れて実際には19時頃から始まる。
20時半 この日のエンターテイナーの1人、フランス・ドイツのショー。日本人は、これを見ないで、この間に、レセプションが行われたホールで、食事。
21時 授賞式の後半。
23時半 この日のメイン・エンターテイナーであるサム・ゴリスのショー。
24時半 会場で販売された福引券で、数多くの景品が当たる抽選会が行われ、それに続いては、午前3時過ぎまで、生バンド演奏で、ダンス・パーティ。そして徐々に散会となる。しかし日本人や多くのアジア人は、大抵午前0時前に引き上げてしまう。それは表彰式とオークションというメイン・プログラムが終了してしまうからである。

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スーパー・スターと国際超長距離部門

ゴウデン・ダィフ賞の場合は、全て優秀鳩舎賞である。エース・ピジョンのような鳩賞は設けられていない。また特定のレースの授賞もない。それでも賞の数は膨大であり、授賞式は半日以上のスケジュールを要する。だから授賞式の合間合間に、アトラクションや、オークションも必要となるのである。
ではなぜそれほど授賞が長く、多岐にわたるのか。それはひとつには3ケ国にまたがる表彰であり、部門も複雑だからである。
まず各国の下位の受賞者達の表彰である。具体的には毎月の各国の短中長距離各カテゴリーの上位者10位までの表彰である。これだけでも国別に行われるから、数が多い。前半授賞式の最後がジュニア部門の表彰であることは前述した。
今年、ジュニア部門で第1位に輝いたのは、ペーター・ファンデメルヴェの娘で、14才のグヴェン・ファンデメルヴェであった。彼女は11才からレースを始め、昨年の最高成績は、以下の通りであった。


デュッフェル1064 羽中 5-6-7-10-11-14-15-18-20位他 (28羽参加23羽入賞)
ナントィル  2235 羽中 2(21,853羽中でも総合2位)-5-8-9-10-21位他 (23羽参加12羽入賞)
デュッフェル 1023羽中 2-5-6-8-10位他 (9羽参加7羽入賞)



 ちなみに独自の鳩を飛ばしての成績が凄い。21時から始まる後半の授賞式は、最初が各国各部門第1位者、すなわちスーパー・スターの表彰である。今年は、以下の顔ぶれであった。

ベルギー 受賞者 申告レース数 得点
短距離部門 パトリック・リスモント 5レース 単独
中距離部門 リノ・フェルヘイエ 4レース 35ポイント
長距離部門 ニール・ブルックス 3レース 26ポイント

※短距離は、5レース申告者がパトリック・リスモント1鳩舎の為、ポイントに関係なく1位

オランダ 受賞者 申告レース数 得点
短距離部門 ディルク・レーウヴェルケ 2レース 18ポイント
中距離部門 スペンノー・ファンサンデ 2レース 18ポイント
長距離部門 ケース・ナイデケン 2レース 13ポイント
ドイツ 受賞者 申告レース数 得点
短距離部門 ウィンフリード・ヘルメッリヒス 1レース 3レース
中距離部門 ディノ・ベルゲマン 3レース 16ポイント
長距離部門 ハナッペル=リース共同鳩舎 2レース 単独

 各国のスーパー・スター第1位が表彰された後は、ゴウデン・ダィフ賞の表彰であるが、その前に国際超長距離部門の授賞が行われる。 ここにその上位入賞鳩舎を紹介する。2015年度は、以下の顔ぶれと成績であった

 1)フライアル・デンホーフェン父子(ドイツ

日付 放鳩地 参加羽数 順位1 順位2 平均入賞率 最終入賞率
6/26 アジャン 1,177 優勝 2 0.25 3.45
7/24 ナルボンヌ 8,447 74 49 1.46  
7/31 ペルピニャン 977 4 13 1.74  

2)ケース・ナイデケン(オランダ)

日付 放鳩地 参加羽数 順位1 順位2 平均入賞率 最終入賞率
6/12 サンバンサン 1,057 優勝 3 0.38 3.73
7/7 ベルジュラック 1,468 2 6 0.54  
7/25 カオール 5,028 116 25 2.80  

3)マルク&ゲールト・ポラン(ベルギー)

日付 放鳩地 参加羽数 順位1 順位2 平均入賞率 最終入賞率
8/1 リブルヌ 5,024 50 優勝 1.02 4.83
6/26 アジャン 6,042 84 14 1.62  
7/31 ペルピニャン 5,254 84 31 2.19  

※順位1とは、第一マーク鳩の順位、順位2とは、その他最高順位4)デスメイター=レスチアン、5)フェルヴェイ=ドハーン、6)オイゲン・ファンオーヴァーシュトラーテン、7)チーム・フレディ・デヤーガー、8)デグロート=レイエン共同鳩舎、9)M.J.ハウトカマー、10)ゲラード・スケルケンス


 ちなみに誰もが昨年度世界最高の素晴らしい成績を挙げたと認めるコール・デハイデ鳩舎は、18位であった。如何にゴウデン・ダィフ賞での受賞が難しいかよく分かるだろう。

国歌とビデオ・プレゼンテーションの授賞式

 以上の表彰が行われた後、いよいよ最大のメインであるゴウデン・ダィフ賞の授賞式である。
スーパー・スター賞が部門別なら、ゴウデン・ダィフ賞は、その部門を取り払った各国別最高成績の受賞者表彰である。

 今年度の受賞者は、以下の通りである

ドイツ順位 鳩舎名 申告レース数 得点
ミュラー=ド・ベーア共同鳩舎 4レース  
次点 ラーヴェンシュタイン=トゥイル 3レース  
次々点 サンダー=クルトゥルムス 2レース 13ポイント
オランダ順位 鳩舎名 申告レース数 得点
J.シュッテ父子 2レース  18ポイント
次点 ペーター・ファンデメルヴェ 2レース  12ポイント
次々点 ベルト・ブラスペニング 2レース 9ポイント
ベルギー順位 鳩舎名 申告レース数 得点
ファンヘルテム=シュールマンズ 5レース  47ポイント
次点 ゲラード・レンズ 4レース  43ポイント
次々点 ファンエルザッカー=イェプセン 4レース 40ポイント

 以上の鳩舎が、今年の受賞者であった。それぞれ国別に3鳩舎ずつが呼ばれ、ステージに上がる。
各第1位受賞者は、ゴウデン・ダィフ賞受賞者であるが、表彰は3位から呼ばれ、成績が紹介された後、順次ゴウデン・ダィフ賞ならぬブロンズ鳩賞、シルバー鳩賞を表彰されるのである
 そしてゴウデン・ダィフ賞の受賞鳩舎の表彰に際しては、アルマンド・スケールのASBNスタジオが制作した受賞鳩舎紹介のビデオが上映され、もちろん受賞者は、そのビデオ・テープも記念にもらえるのである。
 また各国の受賞者を称えて国家が吹奏される。各受賞者を感激させる最高の演出といえよう。



 授賞式の最後は、チャンピオン商事が毎年贈呈している日本人形の贈呈である。これは各国ゴウデン・ダィフ賞受賞鳩舎と国際超長距離第1位の鳩舎に、筆者が毎年贈呈しているもので、1990年以来、今年で27年目になる。
 当初は1回、ないし数回で止めるつもりでいたのだが、受賞鳩舎の夫人達が皆欲しがるという主催者の要請で止められなくなったものである。日程上、どうしても筆者が持参する形になるのだが、毎年かなりの額の超過手荷物料金を徴収される上に、現地でのガラスケースの組み立ても1日かかる大仕事である。
 それでもステージに再度呼ばれた受賞者達の笑顔を見れば、継続してきた甲斐もある。

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史上最高価格となった若鳩オークション

 

 

 

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 この授賞式を訪れる人々の目的は、もちろん受賞者にとっては受賞そのものである。しかし受賞者も含め、それ以外の人々にとっては、オークションも最大の魅力である。
 なぜならこの競売には最高の若鳩が供出されるからである。籠で30羽、50羽輸入される中にはなかなか入らないような鳩ばかりである。それが為ゴウデン・ダィフ賞の前にこの競売に参加する各鳩舎を訪問すると、どの一流鳩舎もが、「今年は、この若鳩を出すから見てくれ」
「うちの若鳩が最高価格になるよ」と自慢しながら、競売参加鳩を見せに来る。籠で売る為の鳩舎の若鳩とは別の部屋から大事そうに出してくるのである。
 実際に、結果も凄い。前にも紹介したが、ディルク・ファンダィクの作出した有名なカンニバールの娘が、コープマンに落札され、有名なゴールデン・レディとなった。そしてそのコープマンがゴールデン・レディから作出したクライネ・ディルクは、世界最高の超銘鳩の1羽となったが、更にそのコープマンが、このクライネ・ディルクから作出した若鳩が、このゴウデン・ダィフの競売に出てフランク・サンダー鳩舎に落札され、同鳩舎の基礎鳩ヴォンダー・ファン・ハーハト(ハーハトの驚異。当時ゴウデン・ダィフ賞授賞式は、スポンサーであるハーハト・ビールの持つホールで行われており、そこで落札されてこの名がついた)が誕生した。
 まさに種鳩の宝庫ともいうべき競売なのである。
 今年は、49羽が参加し、事前のインターネット・オークションで最高価格5000ユーロ(約63万円)をマークしたのは、アド・スカーラーケンス鳩舎の作出した若鳩ノーブル・ブラッドB15-1774455灰の雄であった。
 この鳩は有名なデン・エクストリームとアドの孫であったが、自身の全兄弟が活躍している訳ではなく、筆者としては何故この鳩がネットで、最高価格を付けたのか苦しむところであった。
 しかし主催者のヤン・ヘルマンスによると、「この鳩が会場で最高価格になるかどうかは分からないが、」
との前置きの後で、いずれにせよ5000ユーロでは、とても落札出来ないだろうとの見通しであった。
 例年、この競売は、鳩の供出者が、それぞれ会場に来る際に自分の鳩を持参してくる。しかし今年は、予め全鳩の写真をネット掲載する為に撮影したようで、殆どの鳩が、15時には会場に到着していた。筆者は幸運にも、これらの鳩を全て展示籠に詰める際、掴むことが出来た。
 中には勿論最高とは言えない鳩も混じってはいたが、それでもかなりの鳩が、唸るような鳩質であったのは、感嘆した。
 競売は有名な故スタン・ライマーカーの息子グスト・ライマーカーの競りで行われた。弊社でも日本の様々な方々から指値を頂戴していたので、出来るだけ数多くの鳩を落としたいのが人情である。しかし残念ながら、その殆どの方の期待を裏切るような競売となった。
 日本円で100万円を上回る鳩が珍しくなかった。
 最高価格は、スカーラーケンスのノーブル・ブラッドで、落札したのは中国人、価格は何と16,000ユーロである。何とも高い価格ではあるがこれも考え方次第であろう。超銘鳩といわれる鳩の中には、鳩質も大したことが無いのに、定価でこのくらい要求する人間もいるのだ。
 次に高額であったのは、主催者ヤン・ヘルマンスの息子リックの有名なフレンドシップの全兄弟で、13,000ユーロ。落札したのは、オランダ鳩界人にして長者番付に名を連ねる強豪ジョン・ファンヴァンローイであった。
 ちなみにファンヴァンローイの作出鳩も誰かに6000ユーロで作出された。
 また最高価格第3位となったのは、ヴィレム・ドブルイン鳩舎の作出若鳩ハリケーンズ・ホープで、この鳩は弊社が8,500ユーロで落札した。
 全部が終わってみると、総額は163,798ユーロ、1羽平均3,343ユーロであった。これが日本に輸入されれば、経費に消費税を加えて50万円以上の平均価格である。「輸入鳩は安い」などと世迷い事を言う人もいる。確かに世の中には1羽50ユーロでも買ってほしいというようなカス鳩もいる。しかしそういう鳩に投資するようなお金の使い方が、実は一番高くつくのである。

 残念ながらこの競売を見てもそうだが、毎年鳩の価格は上昇傾向にある。やる気のある若手レースマンにとっては、残念なことでもあるが、それはそれで鳩界発展の為には仕方がないかも知れない。

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