平野岩夫氏逝く

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                           故・平野岩夫氏

 日本鳩界の重鎮、平野岩夫氏が、去る2月21日に逝去され81歳の生涯を閉じられました。平野岩夫氏は、千葉県船橋市本中山に青果店を営まれながら、日本鳩界にあっては競翔家として、また親分肌の人格者としても多くの鳩界人から敬慕され、親しまれる存在でした。

 レースマンとしては、ひたすら稚内グランド・ナショナル・レースのみを標榜し、稀代の銘鳩デルバー・ボーイを使翔、地元千葉鳩界だけでなく、日本国内はもとより台湾などにも多くの知己知友がおりました。

 私、吉原謙以知が、初めて平野さんにお会いしたのは、1973年ベルギーでのことでした。平野さんは、故植村貞二氏らと共に渡欧され、それを当時ベルギーの鳩新聞ベルギッシェ・ダィヴェンスポルト紙の主宰者である故ジュール・ギャレー氏が歓迎パーティーに招かれておりました。

 私は、当時丁度バルセロナ国際レースの主宰団体アンタンテ・ベルジの会長をしていたエミール・マテルヌと一緒にバルセロナ国際レースの放鳩を見学に行くなど親しくしており、マテルヌ氏の車でパーティーに呼ばれていたのです。私は当時1年以上も日本語から遠ざかっており、ただ久々に日本の鳩界人と話が出来るという懐かしさだけだったのですが、会場で挨拶した途端、平野さんが、

「何だ、お前は」と睨み付けられたのをよく覚えています。

 今でははっきりとは覚えていませんが、スーツ姿の皆さんに対して、私はみすぼらしい恰好だったのかもしれません。ただお話ししている内に、僕が鳩や鳩界全般の勉強の為にベルギーにいることはご理解頂けたようで、最後に、「じゃあ、日本に帰ったら、ウチに来いよ」

 と声をかけて頂きました。

 帰国後数年して、樋口重雄氏と鳩のチャンピオン社を始めることになったのですが、これも平野さんとお会いすることが無かったなら、多分実現していなかったでしょう。それほど僕個人の人生にとっても、大きな存在だったのです。どういう経緯かは分かりませんが、その後平野さんは、それまで鳩の輸入を依頼していた植村氏からでなく、私から鳩の輸入をするようになりました。その後、数年たったある時、何かの折に植村さんに会った際、植村さんが私にポツリと、言われたのです。

「平野さんには、決して足を向けられないくらいお世話になったんだよねえ」

 平野さんについては、幾つもの想い出があります。平野さんが、4地区グランプリで総合優勝した時のことです。グランプリ・レースは、協会主催の重賞レースですから、これに総合優勝することは、大変な名誉でもあります。ところが平野さんは、人から祝賀会を勧められると、

「グランプリで優勝した位で、祝賀会なんか恥ずかしくて出来るか」

 全く歯牙にもかけない口ぶりでした。まさに平野さんにとっては、稚内グランド・ナショナル・レースこそが、唯一の目標だったのだろうと思います。

 恐らく平野さんの雨月系、或いはデルバー・ボーイの血筋は、ごく一部の競翔家の鳩舎にしか残っていないかも知れません。そして確かにいずれは消えてゆくでしょう。

 しかし平野さんの大きな人柄だけは、平野さんに接することの出来た今残された鳩界人全ての人々の心の中に生き続けるでしょう。私は、今回偶々日本におらず、お通夜にも告別式にも参列出来なかったのが、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。

 今はただ、安らかにお休みください、以外の言葉は思い浮かびません。

 合掌

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