●閑話休題〜奇怪な話〜
奇怪な話の中身とは
7月1日に載せた「奇怪な話」、委託レースでご活躍のYさん、Uさん、お分かりでしょうか。
同じ鳩が、同じ年の、異なる若鳩委託レースに委託され、それぞれ最終レースまで参加して、素晴らしい成績を挙げてしまった話です。これがマジックでもイリュージョンでも嘘でも無いとしたら、常識的には「そんな馬鹿な」となるでしょう。
ところが実際に起こったのです。答えは次の通りです。
昨年のベルジアン。マスターで最終レースにおいて総合90位に入賞した鳩は、ヤン&カレル・レイエン鳩舎の委託したB14-2047353でした。
この同じ鳩が、同じ昨年委託のスペイン・カナリー諸島のテネリファにあるアローナ・ダービー・レースに参加して、何と最終海上レースで優勝してしまったのです。
勿論、最初の鳩を殺して脚環を他の鳩に再挿入したのではありません。
タネを明かせば簡単です。ベルジアン・マスターの委託最終レースは、昨年8月下旬でした。アローナ・ダービー・レースの委託は、昨年の秋、そして最終レースは、今年の春に行われたのです。
このひとつの理由は、対立する主催者グループの違いにもあります。ド・ダィフやヘルボッツ・グループは、ベルジアン・マスターを報道しますが、アローナ・ダービーは、記事にしません。
一方、名前は挙げませんが、誰でも知っている鳩界最大のインターネット・サイトもアローナ・ダービーは報道しますが、ベルジアン・マスターは、無視しています。
しかしそれ以上に大きな理由は、前回書いた通り、誰だって、1度委託した鳩を、他の委託レースに参加させようなんて考えないからでしょう。個人の鳩舎ですら、改めて馴らすのは難しいのに、委託レースならなおさら金をドブに捨てるような物、と考えるのが普通だからです。
しかし本当に世の中には、色々考えて、奇抜なことをする人がいるものです。
吉原謙以知